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誰もが利用できる成年後見制度?

成年後見制度は身寄りがいる、お金がある人のための制度で、身寄りもお金もなければ、利用できないというように言われていますが、はたしてそうなのでしょうか。

成年後見制度に関する申立費用の助成・区長申立について
成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度という2本の柱があります。
任意後見制度は、契約のご本人が判断能力がある方のため、任意後見契約に関する費用等は、本人が当然に支出します。任意後見契約が発効されますと、任意後見人、任意後見監督人に対する報酬が発生し、本人の財産から支出されますので、本人にある程度の資産が必要になります。
しかし、この契約に関しては親族は関与しないため、任意後見制度は、ある程度の資産があれば利用できる、老後の安心を得る制度であるのに比べ、法定後見制度は、すでに判断能力が衰えた方を保護し支援する制度であり、緊急性も考えられる場合があるというところに大きな違いがあります。
法定後見制度は、判断能力が落ちてきた方が利用するため、その申立は、本人ではなく親族の方(配偶者、4親等内の親族)が行わなければならない場合が出てきます。法定後見制度を利用する場合の申立費用等は、家事審判法第7条で非訟事件手続法を準用しているため、原則申立人の負担(非訟26)になります。
申立費用は、鑑定が必要な場合の鑑定費用(5万円〜10万円位)、その他手続費用(1万円位)となります。しかし、特別な事情がある場合は、申立費用の本人負担を家庭裁判所が認める場合もあります。(非訟28)
成年後見人等が選任されるとその後、成年後見人等への報酬が発生し本人の財産から支出することになります。
このように申立に親族の必要な場合があり、本人の財産から費用等の支出がなされる場合もあり、報酬については当然に本人の財産から支出されるので、身寄りのいない、資産のない方は、成年後見制度は利用できないのではということになってしまうのです。
しかし、そうではありません、身寄りのいない高齢者の場合、老人福祉法第32条で区長の成年後見等の申立を認めているので、親族のいないことを確認して、区長が申立ることになります。
従来4親等内の親族まで確認をしていたため、申立に至るまでに時間がかかり、区長申立が利用しにくいものでしたが、その要件が緩和され、現在は2親等内の親族の確認をすることで、区長申立ができるようになり、その申立件数も増加しています。
費用の助成については、平成18年4月から(それ以前は「介護予防・地域支え合い事業」の一環として、「成年後見制度利用支援事業」が実施されていました。)厚生労働省老健局長が定めた「地域支援事業実施要綱」に基づく区の任意事業として「成年後見制度利用支援事業」が実施されています。区長申立に係わる低所得の高齢者に関する成年後見制度の申立に要する経費や成年後見人等の報酬の助成を行う制度です。
任意制度のため区によって、状況は違いますが、成年後見制度を誰でも利用できるようにするためのものです。
その他に社団法人成年後見センター・リーガルサポートでは、「公益信託成年後見助成基金」により、成年後見人等の報酬に充当するための助成金等の給付を行っています。
まだ、決して万全な体制とは言えませんが、誰もが利用できる、成年後見制度であって欲しいものです。

<参考>
法定後見の申立書類等については、最近変更がありました。
家庭裁判所下記サイトへアクセスしてみて下さい。

http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/koken/index.html

 
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