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さて、大山崎〜山口晃展

 京都アサヒビール大山崎山荘美術館で「さて、大山崎〜山口晃展」を見てきました。
山口晃さんは、NHK、「たけしの誰でもピカソ」等マスコミにも多々出演されている「美男」で、ガンダム世代。また最近では電車の広告等で「江戸しぐさ」のイラストを見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。現代の「絵師」とも呼ばれています。
 昨年上野の森美術館で展覧会があったのですが、その際は見逃してしまい、一度原画を見てみたかったのと、大山崎山荘美術館という、元は大正時代のお金持ちが建てた素敵な山荘というロケーションに惹かれ、京都まで足を伸ばしました。
 美術館の概要、作品の素晴らしさについては「弐代目青い日記帳」http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1641さんにお願いすることとして、同行者の感想は「面白かった」の一言ですが、それでは全て終わってしまうので、私の感想です。
 最高だと思ったのは、安藤忠雄氏(設計界の権威)の手による新館内の展示です。この建物はコンクリート打ちっ放しの円筒形の建築で、半地下から2階建てくらいの高さがあり、この円の内側の薄暗い壁部分が展示スペースになっています。山口さんは、どうも展示しずらいと思ったらしく、面白いことを思いついてくれました。
 コンクリート打ちっ放しですから、壁には筋のようなものがあったり、表面のでこぼこが何か模様のように見える部分があったりします。その部分に四角いライトを当て、名前をつけ、絵のように展示したのです。分かりやすいところだと、「沢蟹」とか、父親が子供をおぶっているように見えたら「父子」とかです。

       

 茶の湯の世界では「見立て」と言うものがあって、例えば、茶碗にできた自然釉が流れてできたところを景色としてとらえ、この茶碗は、銘「群雲」などと名付けるようです。この茶の湯の見立てから連想を得て作成?されたのがこの「壁面見立」です。
 私はお茶を嗜んだことがないのですが、美術館などを巡るうちに、素直に色々なお茶碗を「良いなあ」と思えるようになりました。しかしながら、お茶碗とその銘の「不二山」「時雨」「無一物」「俊寛」等を見て、なるほど思える部分もあり、またいまいち腑に落ちない所もあり、そしていまいち腑に落ちないでいる私は「茶の湯」というコアな仲間に入れてもらえていないと感じる、居心地が悪い部分もありなのです。
 そこで思ったのは、山口さんの創造の源になっているところに、もしかしたら私と同じことを感じている部分があってこんな作品を作ったのではないか?ということです。
 「携行折畳式喫茶室」を拝見すると、チープを極めた材料を使って、わざと夏休みの工作風な茶室を拵えています。茶は精神なのであるから、「おもてなしのこころ」さえあれば…と。とんがってはいないけれど、なにげに、そしてかなり反逆的。
 確立した、伝統とか権威とか歴史とかを、自らの感覚でとらえ直し、もっと気持ちが良くなるようにと、少年の心を持って創造されているのだと思います。これは芸術家の原点かと思いますが、但し、並みの人間が同じことをやってもたいしたものにはなりません。また単にパロディにとどまらず、アートに昇華させ得ているのは、山口さんの感性、才能、腕のなせる技です。全くもって山口さんの書く絵は、流麗で、美しく、そして楽しいのです。
 絵が上手だからこそ、山口さんが書く「うまへた漫画」(上手な人がわざと下手に書く漫画、ちなみに上手ではないが味があるのが「へたうま」)にも、何か中世の脱力系絵巻に通じるものを感じるのですね。
 この展覧会は既に終了してしまっていますが、今回私が取り上げたのは作品は、山口さんにとっては余暇のようなものでして、本当は、武者絵とか現代洛中洛外図等の作品が中心です。特に戦国時代好き、メカニック好き男子には「面白い」と思いますので、機会がありましたら一度見てください。お薦め度☆☆☆☆

 
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