今回の阿修羅展について、ちょっと考えされられた訳ですが、そうは言っても、そもそも今回は、イベント色の強い展覧会であることは事前から決まっていたことなのでした。開催前から阿修羅ファンクラブが出来たり、公式グッズの海洋堂製作のフィギュアが作成されたり→15,000個早々に完売)
仏像ブームだそうですし、阿修羅に会ったことで、仏像に対する興味が湧いてくれば良いのかなと思います。そんな仏像に興味を引かれた方は是非4月15日発行の「ブルータス」をお読みください。難しいことはひとつも書いていないけれど、一番よくわかるお薦めの1冊です。
奈良の興福寺に行って、国宝館展示という博物館展示に近い形で何回も見ている「阿修羅」なのに、何故今回私が見に行ったかというと、横の顔をよく拝見したかったからなのです。(朝日新聞夕刊「私と阿修羅」より、いとうせいこう氏「くちびるを噛んだ横顔が切ない」)フェィスtoフェイスの距離でいったら、ガラスはあるけれど、興福寺の方がもっと近くから拝見できます。と考えてくると、興福寺の国宝館における「阿修羅」の住環境がよろしくないという点にすべての原因があるのではないかと思い当たりました。
まず建物が昭和34年建造という、一番老朽化が進みがちな建築年時であること。明治時代に作られた建物は、上野国立博物館本館・京都国立博物館本館をはじめとして、現役バリバリなのに、この頃建てられた建物はどうも本当に保たないようです。
昭和41年建築の京都国立博物館の平常館は既に老朽化し、現在取壊して新築工事中です。(ここで展示されていた仏像達もぼろい所に入れられて、お気の毒でした)
で、その面白みのない建物の中、ガラスの向こうに八部衆、十大弟子が横並びで置かれており、どう見ても粗末に展示されているのです。法隆寺が「百済観音」用に展示室を作ったように、もっと大切にして、良い住環境を作ってあげてください。これだけ人気のあるスーパースターで、みんなお寺のために身体を張って働いているのですから。(やはり今回も仏様達は、興福寺の中金堂再建の為のお仕事でした。)
帰りがけに置いてあるチラシを見たら「お堂でみる阿修羅」がこの秋10月17日より興福寺で公開されるそうです。もっと興味が湧いた方は、この機会に奈良で阿修羅を見たらいかがでしょう。奈良は仏像の宝庫です。興福寺国宝館には、今回来ていない国宝が沢山ありますし、この時期なら北円堂の運慶の大傑作も見られます。東大寺、薬師寺、法隆寺はもちろん、唐招提寺も今秋落慶法要とのこと。10月末から11月初めには正倉院展も開かれます。10月17日なら、南円堂も年一度のご開帳日だし…。書いている私が行きたくなってきてしまいました。
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